《CowPlus+通信 Vol.10》
今回は牛用の生菌剤について解説していきます。
善玉菌、悪玉菌、プロバイオティクス、プレバイオティクスなど、聞いたことはあっても実際どの成分がどれなのかよく分からない…と思ったことはありませんか?
体に良いとされる菌ばかりをたくさん取り入れたとしても、お腹のなかにその菌たちのエサがなければ、期待する効果が満足に得られないことも考えられます。
まずはプロバイオティクスとプレバイオティクスの違いを理解して、正しく生菌剤を使いこなしていきましょう!
〇〇バイオティクスとは?
最近よくテレビなどでも見かけるようになった、プロバイオティクスとプレバイオティクスについて解説します。なにやらカタカナがたくさん並んでいて抵抗感を覚える方もいるかもしれませんが、その正体は実にシンプルです。
プロバイオティクスとは…
乳酸菌や酪酸菌などのように、お腹のなかで良い働きをしてくれる生きた菌(善玉菌)そのもののことです。
プレバイオティクスとは…
プロバイオティクスたちが働くための、エサとなる物質のことです(オリゴ糖など)。
では、上記2点を覚えていただいたうえで、実際に使用されることが多い生菌剤の中身について見ていきましょう。
牛用の生菌剤の例
一般的に使用されることが多い生菌剤の例(商品名)をご紹介します。
- ビオスリー(東亜アニマルヘルス)
- ビオスリーエース(東亜アニマルヘルス)
- ビオペア(東亜アニマルヘルス)
- ボバクチン(ミヤリサン製薬株式会社) など
ビオスリー1g中には、ラクトミン(乳酸菌):20mg(7×106個)、酪酸菌:20mg(2×105個)、糖化菌:20mg(3×105個)が含まれています。腸内で良い働きをする菌のみの最もシンプルな生菌剤です。
ビオスリーエース1g中には、乳糖、炭酸カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、バレイショデンプン ビール酵母、ガラクトオリゴ糖、乳酸菌(1×10⁸個/g)、酪酸菌(1×10⁶個/g)、糖化菌(1×10⁶個/g)が含まれています。先ほど解説した、プロバイオティクスとプレバイオティクスが両方含まれているタイプの生菌剤です。
したがって同じシリーズの商品であっても、ビオスリーは動物用医薬品、ビオスリーエースは生菌入り混合飼料に分類されています。(ペレットやタブレットタイプも販売されていますので、使いやすいものを使うと良いでしょう。)
続いて、ビオペア1g中には、塩酸ベタイン:200mg、含糖ペプシン:300mg、でんぷん消化酵素:17mg、繊維素消化酵素:17mg、糖化菌:42mg(1.5 x107個以上)が含まれています。ビオペアは消化機能障害治療剤という分類の動物用医薬品です。
さいごにご紹介するボバクチン1g中には、ミヤラクト末10mg、ミヤエント末1mg、宮入菌末0.01mgが含まれています。ルーメン内の異常発酵の治療を目的とした生菌剤のため、これも動物用医薬品です。
単品の生菌剤のほか、配合飼料のなかに生菌剤が含まれているものもたくさんあります。ぜひお使いの飼料の原材料を確認してみてくださいね。
生菌剤の効果
生菌剤には整腸作用のほかにも、牛にとってプラスになる効果をもっています。
- 整腸効果
- 増体率UP
- 免疫力UP
- 乳質改善
- 繁殖成績改善
お腹の環境が整うことにより体内での代謝が正常に行われ、全身に良い影響をもたらします。治療だけでなく、予防として普段から積極的に使用するのがおすすめです!
生菌剤の選び方(例)
ほんの一例ですが、生菌剤の選び方についてご紹介します。
予防目的なら
ビオスリー、ビオスリーエース、ボバクチンなど
治療目的なら
ビオスリー、ビオペア、ボバクチンなど
(MERI)
生菌剤の取り扱いが多い、東亜アニマルヘルスさんのHPも見てみてくださいね♪
ビオスリーエースタブレットや、飲み水に混ぜるタイプのビオスリープラスもあります!
治療の際は必ず担当獣医師の指示に従うようにしましょう。指示と違う使い方をしていると、治療の効果が十分に発揮されないこともあります。もし生菌剤の使い方で迷ってしまったら、いつでもお気軽にご相談くださいね!
【CowPlus+代表・獣医師】
MERI:松村 恵里 [ MERI writing lab ]
【経歴】北海道農業共済組合で獣医師として7年勤務したのち退職。2023年4月からWebライターとして活動中。診療経験は牛(乳牛、肉牛)、馬(サラブレッド)。猫2匹と暮らす1児の母。
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